カメラとフィルムのこと

 今回の旅は荷物の一切合切を常に持ち歩くということがないので、欲張って一眼レフを持って行くことにした。ペンタックスSFXだ。レンズは35〜70ズームと70〜210ズーム、そしてオートフォーカスは連動しないがフラッシュを使えないような局面で少しでも明るいレンズをと思ってF1.4の50ミリを持って行った(全然使わなかった)。それに0.45倍と2倍のコンバージョンレンズも。これらを組み合わせると、なんと16ミリ〜420ミリ、すなわち魚眼から超(長ぐらいか)望遠までという、ばかばかしくワイドな撮影領域を持つカメラになる(ピント精度や解像力はかなり劣化するけど)。
 サブカメラとして『写ルンですHi』の逆輸入品である『クイックスナップ』3本を持って行ったのだが、これにはおおいに気を使った。というのもソ連に持ち込めるカメラは一人2台までという規定があるのだ。『写ルンですHi』のパッケージには「レンズ付きフィルム」と書いてあるのだが、アメリカ向けの『クイックスナップ』には「ディスポーザブル・カメラ」と印刷されている。これが発売されたとき、富士フイルムは「使い捨てカメラ」と言われることを嫌って「これはカメラではありません、レンズ付きフィルムです!」と宣伝していたくせに、輸出用にはちゃんとカメラと書いてあるではないか。  というわけでソ連の税関で「オー、自己批判シテ思想ノ誤リヲ認メマシタネ。コレハかめらデス」と認定されたら困るなぁと、X線防止袋の奥底にしまい込み、すでに封を切ってある1個は『写ルンですHi』の入っていた袋(つまりフィルムと書いてある)をかぶせて言い逃れようにしようと浅知恵で考える。

 さて、フィルムの方だが、ソ連のフィルムは入手が困難な上、処理方法が違うので日本では現像できないらしい(山下洋輔サンの本で東ドイツ製のフィルムを現像するのにパリまで送ったという話があった)。ベリョースカにコダックがあればいいのだが、アテにならないことを期待するよりは補給できないものと決めて多めに持って行くのが間違いない。撮影中に官憲に咎められ、フィルムを抜かれるという事態に備えて12枚撮りを大量に持って行くことにし・・・ようかと思ったけど、それじゃぁかさばるし、帰ってきてから現像代もかかるので、ええいままよと36枚撮りを持って行くことにした。
 これまでフジのネガカラーの発色が嫌いで、フィルムはコダックかコニカと決めていたのだが(『写ルンですHi』は別・・・まだ他メーカーが同じようなものを売り出していなかった)、ちょうど新発売されたばかりのリアラは色のバランスが良さそうなので、今回はこれを使ってみることにした。このリアラはISO100のものだけなので、スーパーHGのISO400も買って行く。ただし、カメラが1台だけなので、このフィルムはすぐ消化できるように24枚撮りにした。

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