日ソ対抗バレーボール


 9号車の通路に可愛いロシア人の女の子がいつもいるのを食堂車の行き帰りに見ていて、彼女にちょっかいを出してみようと決めた。といっても相手は4歳だからね。

 じゃりん子手なずけ用品その1の紙風船を彼女の目の前で膨らませると一発で興味を示し、奪い取るようにして一人で遊び始めた。すごい効果だ。これから旅に出るときには必ず持って行こう・・・なんだか富山の薬売りみたいだが。
 受け損ねてこちらに転がって来たのを投げ返してやると、反射的に打ち返し、それを見て二人で遊べるということに気がついたようだ。よし、なかなか利口だぞ。
 というわけで時ならぬ日ソ対抗バレーボールが始まったのだが、9号車にいた僕のグループの女の子たちに聞くと、どうやらちょっかいを出されたのは僕のほうらしい。この
ターニャという子は誰かに構ってもらうのが嬉しくて、昨夜も遅くまで彼女たちのところにいてなかなか解放してくれなかったとか。あとで「わたなべサンはいいよね、自分の車両に帰れるんだから」と恨めしそうに言われた。
 ターニャが汗びっしょりになり、僕も指の先を壁にぶつけて爪を割るなどの激戦の末、ターニャがタックルしてきた。僕の足の間に頭を突っ込んでぐいぐい押してくる。なんだなんだ、スクラムの練習か。それはラグビーだ。肩車をされてやったり、今度はこちらが逆さ吊りにしてやるときゃっきゃと喜ぶ。
 この様子を見ていた連中から声がかかった。
「わたなべサン、いまから手なずけておけば、20年後にはすごい美人になりますよ」
「それは悪くないなあ・・・でも、30年後にはすごいデブになっちまうぞ」