音楽再生プラグインの在処 うっちいの音楽箱
WEB版・おろしや国酔狂譚について


表紙には、買ってきた地図を使った
国境線には不満がある
 1989年のゴールデンウィークに、ぼくは初めての外国旅行をしました。行き先はペレストロイカ推進中のソビエト連邦・ロシア共和国。
 何もかもが珍しく、すっかり興奮したぼくは、帰ってきて旅の思い出を文章にしました。当時、ぼくは複数の友人たちに近況報告する手段として『こないだ』というタイトルで冊子のようなものを作って郵送するということをしていたのですが、このシベリア旅行記は「冊子」という厚さを超えてしまったものです。

 でも、どうして初めての外国旅行にソ連(当時)を選んだのでしょうかねぇ。汽車旅好きとしてシベリア鉄道に憧れがあったのも事実です。いつか乗ってみたいという漠然とした憧れ・・・それが、真っ先に行ってみたい外国になったのは、あるテレビ番組の影響が強かったのかも知れません。
 1985年12月、東京放送(TBS)が『シベリア大紀行』というドキュメンタリーを放映しました。そこから遡ること200年ほど前の1782年に、伊勢白子の船乗り大黒屋光太夫とその一行が駿河沖で遭難してアリューシャン列島に流れ着き、やがてロシアの商船に助けられてオホーツクに連れて行かれるのでありますが、光太夫は日本に帰りたい一心で凍てつくシベリア大陸を横断し、首都ペテルブルク(のちのレニングラード・・・あ、連邦制崩壊後またペテルブルクに戻った)まで女帝エカテリーナに嘆願しに行くのです。自分や仲間を日本に戻してくれ、と。エカテリーナの許可を得た光太夫は再び極東の町にとって返し、10年がかりで日本に戻ってくることに成功するのですが、厳しい自然環境に加えて、当時の政治や社会、技術の点からも壮絶な冒険だったわけです。
 その光太夫の足跡を追いながら現代(放映当時)のソ連の現状を対比させようというドキュメンタリーで、大変興味深いテレビ番組でした。
 それやこれやでソ連に行ってみる気になってしまったのでしょう。グァムやハワイなんて、いかにも観光旅行でございますというのに反発する気持ちもあったし。

 このドキュメンタリーの下敷きとなった大黒屋光太夫の物語は井上靖さんによって『おろしや国酔夢譚』という小説になっています。厚かましくもこの旅行記のタイトルは、ここから頂きました。(内田百閧ノは『阿房列車』、種村直樹には『気まぐれ列車』という紀行文のシリーズがありますが、ぼくもこの後『酔狂列車』と称してゴールデンウィークにおかしな汽車旅を続けたものです)
 また、番組のリポーターを務めた椎名誠サンの一連の著作はぼくの愛読書でもありますし、前出の種村直樹サンや宮脇俊三サンなどのシベリア鉄道ものの本も参考になりました。
 そういうものの影響を受けて、この『おろしや国酔狂譚』は成り立っています。

 ぼくの旅の後、ソビエトの連邦制は崩壊し、ヨーロッパ全体を含めて大きく社会情勢が変わりました。ですから、今となっては理解しがたい言動もあると思いますが、正直なところ当時はソ連という国に対して「得体の知れない不気味な」イメージが心の底にありました。でも、そこで暮らしているのは「人間だった」というのが率直な感想です。
 きっと、今はもうこれほど気負わずに行けるんでしょうね。


 今回WEB版を作るにあたって、文章はすべて入力し直しました。オリジナルはすでに壊れてしまったワープロ専用機で作成したので、当時のフロッピーから読み込むことができなかったのです。
 その際に、気がついた範囲で誤字脱字を訂正するとともに、一部の言い回しを変えてあります(日本語としてヘンとか文章のつながりが悪いというような部分です)。また、登場人物を仮名にしました。
 それと、オリジナルではルビで面白く読ませるという方法を採っている部分、たとえば「温泉療養しなさいという簡単な診断書」と書いて「(いなかでのんびり)しなさいという(おざなり)な(みたて)」と読ませるような書き方をしているのですが、HTMLでうまく表現する方法が解らないので、単純に「漂流者<ドリフターズ>」という書き方にします。
 もちろん、コピーの都合でオリジナル版ではモノクロだった写真はカラー化し、一部を差し替え、さらに追加してあります(倍近くになっていると思います)。
 ただ、オリジナル版で本の切り抜きや原田泰治さんの絵を引用した部分は、WWWの性質上『私家版』という範囲を超えてしまうような気がするので、著作権問題が発生することを嫌って、ここでは掲載しません(何らかの形でクリアすれば、またはその確認が取れればこの限りではありません。その際にはこの一節を削除し、掲載することにします)。

 JavaScriptが有効なブラウザではサブウィンドゥが開いてしまって邪魔になると思いますが、ぼくからのサービス(お節介)です。何度もアクセスしていただくことになるでしょうからと、一ヶ月サイクルの日替わりでバッハの曲をBGMに流しております(年に7回しかない31日だけは違うョ)。曲は 『うっちいの音楽箱』から拝借しています。ついでですが、ぼく自身はYAMAHAの 『MIDPLUG』というMIDI再生プラグインを使っていますので、ついそれに合わせた設定をしてしまいがちになります。皆さんの環境でエラーが出たらご連絡ください。できるだけ対処したいと思います。
 邪魔に思えたら、メインのウィンドゥをアクティブにすれば裏に隠れますし、最小化してしまってもオーケーです。もちろん、BGMが不要ならすみやかにサブウィンドゥを閉じてくださって結構です。

おろしや国酔狂譚  あと、ご自分のホームページからリンクを張ろう、とか、メールで友人にも教えたいという奇特な人がいらっしゃいましたら、『おろしや国酔狂譚』のトップページをご紹介くださるようお願いいたします。URLは http://www.knet.ne.jp/~matsuo/Russia/です。リンクバナーもご利用いただければ幸いです。

 それでは、ごゆっくりお楽しみください。



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